麻疹(はしか)の潜伏期間とMRワクチン大人接種の金額、風疹との違いは?

麻疹がまた流行しているようです。大人が麻疹の予防接種や抗体検査を受けるメリットと、潜伏期間、回復までの流れ、合併症・後遺症、風疹との違いなどについてまとめました。




麻疹の感染力はどのくらい?

麻疹(ましん)は「はしか」とも呼ばれ、麻疹患者の咳やくしゃみの飛沫に含まれる麻疹ウイルスを吸い込むことで感染します。

患者の近くにいる人が飛沫感染するだけでなく、空気中を漂うウイルスを吸い込むことによって、離れた場所にいる人にも感染することがあります。

麻疹の感染力はインフルエンザの10倍で、麻疹に大して免疫を持っていない人が感染すると90%以上が発症します。

死に至ることも決して珍しくない 重い感染症の1つです。

子供がかかる病気と思われがちですが、免疫を持っていなければ大人も発症します。

大人がかかると重症化する場合が多く、体力を消耗している時に発症すると3週間くらい入院される方もいます。


人に感染させる期間はいつからいつまで?

麻疹は麻疹ウイルスが人から人へ感染していく感染症で、感染ルートは飛沫感染、空気感染、接触感染があります。

麻疹の感染力は強く、1人の発症者から12~14人に感染させるといわれています。

厄介なのは発熱する1日程度前から他人への感染力が生じることで、この期間の感染力が最も強いので、知らないうちに多くの人にうつしてしまうことです。

麻疹患者が周囲の人に感染させることが可能な期間は、発熱等の症状が出る1日前から発疹が出て4~5日目くらいまでです。

感染力が強いので、麻疹にかかったらほかの人との接触機会をできるだけなくすように、公共交通機関ではなく家族の車で受診する、受診する医療機関にあらかじめ麻疹の症状と似た症状であることなどを電話しておくのもよいでしょう。





麻疹の感染から発症までの流れ

[潜伏期]
潜伏期間がやや長いのが特徴です。
麻疹ウイルスに感染すると体内でウイルスが増殖しはじめ、10~12日間で全身にひろがります。
この期間は症状がなく、感染に気づけません。
  ↓  
[カタル期(または前駆期)]
38℃台の発熱、咳、鼻水、目の充血、体がだるいといった症状が2~5日間続きます。
症状が風邪に似ているので風邪と誤診されることも多いです。
乳幼児の場合は、下痢、腹痛等の消化器症状を伴うこともあります。
  ↓  
[コプリック斑期]
口内の粘膜に白いぶつぶつ(コプリック斑)ができます。
熱は37℃台に一時的に下がることが多く、このぶつぶつは数日で消えてしまいます。
このコプリック斑を見つけることによって、全身に発疹が出る前に麻疹と診断することが可能です。
  ↓  
[発疹期]
その後、発疹は1~2日のうちに胸,腹,背中,手足へと広がります。
39~40℃台の高熱が3~4日続き、発症から1週間~10日にわたって38℃以上の発熱があり、咳も出ます。
この時期には高熱が続き、咳や結膜炎の症状がより一層強くなります。
  ↓  
[回復期]
高熱は下がり始め、咳や結膜炎症状も落ち着き、発疹は黒ずんだ色素沈着へと移行します。
合併症等で重篤化していなければ発症後7~10日後に回復していきます。

しかし、麻疹を発症した後はリンパ球機能などの免疫力が低下するため、しばらくは他の感染症にかかると重症になりやすく、体力が戻って来るには結局1か月位を要することが珍しくありません。

また、麻疹は発熱が1週間継続し、他の症状も強いため、たとえ合併症をきたさなくても入院が必要になることが少なくありません。

合併症・後遺症について

麻疹に伴って、全体の30%ほどでさまざまな合併症が引き起こされます。

その約半数が肺炎で、頻度は低いものの脳炎の合併例もあり、注意が必要です。

麻疹の合併症には次のようなものがあります。

肺炎
 合併症の約半数を占めます。死亡原因となることも多いです。

中耳炎
 麻疹患者の約5~15%にみられます。
 大人でも、回復後も難聴が残ってしまうこともあります。

喉頭炎および喉頭気管支炎

心筋炎、心外膜炎

脳炎
 麻疹を発症した人のうち、1,000例に0.5~1例の割合で脳炎を合併します。
 発生頻度は高くはありませんが、肺炎とともに死亡の原因となります。
 脳炎発症患者の20~40%に中枢神経系の後遺症が残ってしまうと言われています。

亜急性硬化性全脳炎
 麻疹に感染してから、数年の潜伏期間(5~10年)の後に発病する脳炎です。
 知能障害、運動障害が徐々に進行します。
 発生頻度は、麻疹を罹患した人の数万人に1人とされています。

予防法は予防接種だけ

麻疹ウイルスはとても小さなミクロの物質ですので、マスクをしても感染を防ぐことはできません。

電車で一緒になったり、同じ商業施設を利用しただけでも感染してしまうと言われています。

麻疹の感染を防ぐ唯一の手段は、予めワクチンを接種して免疫を獲得しておくことです。

1回接種だけでは十分な免疫を獲得するのは困難で、2回接種が効果的と言われています。

国際標準では2回接種となっていて、他の先進国では2回接種している国がほとんどですが、日本では幼少期に1回接種しただけの人が多く、先進国中最低となっているそうです。

特に20代から40代に麻疹の予防接種歴が1回だけの方が多くなっています。


自分の接種歴を確認する

自分の予防接種歴は意外とわからないものですよね。

これは、母子手帳を母親が保管していて、子供が成長すると紛失してしまっていることが多いためだという専門家の指摘もあります。

小学校入学前の予防接種は、母子手帳が残っていれば母子手帳に書かれているはずです。

小学校以降の接種歴は、親にきくぐらいしか手立てがありませんが、昔のことですので親も忘れてしまっていることでしょう。

お薬手帳のように、様々な医療機関で受けた治療をひとまとめに記録するようになったのも、最近のことですよね。

幼少期に1度受けただけという方が多いと思いますが、十分な抗体を獲得していない場合があるので再度受けた方が効果的です。

「修飾麻疹」って何?

過去にワクチンを1回でも接種していたり、母体からの抗体(乳児の場合)などにより、麻疹ウイルスに対する抗体を不十分ながらも持っている人が麻疹に罹患すると、軽症ですみます。

これが修飾麻疹で、周囲への感染力は弱いながらも感染源となってしまうことがあります。

また、通常の麻疹よりも症状が軽いため、風疹など他の疾患と誤診されることがあるので注意が必要です。

抗体検査を受けることもできる

自分に十分な抗体があるかどうか、抗体検査を行っている医療機関で検査を受けて調べることもできます。

ただ、この検査も自費診療となってしまいますし、検査結果が出るまでに1週間くらいかかります。
検査の結果、抗体不十分とわかれば予防接種が必要となり、この予防接種にも費用がかかりますから、2度手間、2度の出費となってしまいますね。

抗体検査を受けるか、直接予防接種でよいかは医療機関と相談して決めましょう。




1回の予防接種で10~20年の効果

麻疹の予防接種はインフルエンザの予防接種のように毎年受ける必要はなく、2回目の予防接種を受けると10~20年の免疫効果を獲得できると言われています。

これから受けるなら麻疹・風疹混合ワクチン(MRワクチン)がお勧めです。

ワクチン接種費用は医療機関によって異なりますが、6000円台から1万円前後のところが多いようです。

安いほうがよいと思われがちですが、安いところはなかなか予約が取れなかったりすでにワクチンが品切れになっていて別の医療機関を探すことになったりしますので、必ずしも安いほうがよいとは言えません。

麻疹・風疹の混合ワクチンを1度接種すると95%、2度接種すると99%の免疫がつきます。

予防接種をしてもかかるというのは、インフルエンザの場合と混同している単なる噂です。

インフルエンザは、予防接種を受けていても100%の方が発症を防げるわけではないのは事実です。

麻疹と風疹はどう違う?

麻疹と風疹は同じものと誤解されている方もいらっしゃいますが、別のものです。

風疹は風疹ウイルスによって起こる感染症で、比較的短期間でおさまるため三日ばしかとも呼ばれます。

麻疹に比べると軽い症状で収まります。

3週間の潜伏期間の後、発疹と発熱が見られます。

耳の後ろや、後頭部のリンパ節が腫れることも特徴です。

熱は麻疹ほど高くなることはなく、治るまでの期間も短く、大抵の場合数日で回復します。

ただし、風疹に対する免疫のない妊婦が妊娠初期に感染すると、胎児にも感染することがあります。
その場合、胎児は「先天性風疹症候群」となり、白内障や先天性心疾患、難聴といった障害が出てしまいます

風疹ワクチンによって予防できるので、風疹に免疫のない女性は、胎児の先天性風疹症候群を防ぐためにも、妊娠前にワクチンを接種しましょう。

39~56歳の男性は風疹予防接種無料

制度の関係から、現在39歳から56歳の男性は、風疹の予防接種を受けたことのない方が多くなっています。

1962年4月2日~79年4月1日に生まれた男性は、2021年度末まで風疹の予防接種を無料で受けられるようになりました。

ご主人など周囲の男性から妊婦さんに風疹をうつしてしまうこともありますので、是非この機会に接種を受けるとよいですね。


まとめ

麻疹の予防接種を受けてから、体内に抗体ができるまでに2週間程度かかります。

麻疹患者と接触してしまった場合には、72時間以内に予防接種を受けると効果があると言われていますので、医療機関に相談しましょう。

予防接種は自費となってしまうので少々費用はかかりますが、長期間麻疹から身を守れることを考えれば、わずかなコストではないでしょうか。

特に、海外旅行や出張を予定されている方は検討をお勧めします。

自治体によっては、抗体検査や予防接種に費用助成がある場合もあるので、お住まいの自治体のホームページなどで調べてからがよいと思います。




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