改名が認められる理由と却下される事例 申請方法は?

赤池王子様さんの改名申請が認められて話題となっていますね。改名を申請して許可される理由はキラキラネームだけではありません。どんな理由なら改名が認められるのか、却下されるのはどんな場合か、例を挙げてご紹介します。

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名前を変えるには

戸籍名の改名には、

・正当な理由
・家庭裁判所の許可
・役所への届け出

が必要です。

人はどんな理由で改名を希望するのでしょうか。

単に名前が気に入らない、画数が悪いなどの理由ではもちろん許可になりません。

改名が認められるには、「社会生活上重大な支障がある」と家庭裁判所が認める理由がないといけません。

それでは、どんな理由なら家庭裁判所は許可するのかみてみましょう。

1.奇妙な名前
  本名ではないのではと疑われてしまうような名前は、「奇妙な名前」と言ってよいでしょう。

  赤池王子様さんのケースがまさにこれに当てはまりますね。

2.難しくて読めない
  家族以外読めないような当て字などがこれに該当します。

  ふりがながないと正しく読まれない、電話で字を伝えるのが大変、など不便ですよね。
 
3.身近に同姓同名の人がいて混乱する
  結婚・養子縁組をしたら義理の親族と同姓同名になってしまった

  近所に同姓同名の人がいて、郵便物などの誤配が頻繁に起きる

  会社に同姓同名の人がいて、間違われやすい

  有名な犯罪者と同姓同名になってしまい、日常生活に支障をきたしている

  といったケースが許可になっているようです。
  
4.異性と間違われる
  男性なのに女性と誤解されやすい名前、女性なのに男性と思われてしまう名前がこれに当たります。

5.外国人と間違われる
  日本人なのに外国人と思われてしまいがちな名前がこれに当たります。
  
6.神宮・僧侶になった
  僧侶になった場合は、改名が認められやすいです。

  生まれた時に僧侶になることを想定していなかった、お寺に婿養子に入った人などによくあるケースです。

7.通称名を長年使用している
  通称を長年使用していて、そちらの名前のほうが知れ渡っている場合、通称への改名が認められることがあります。

その他の理由って何?

上の1から7のどれにも当てはまらないその他の事由というものがあります。

どんなものかみてみましょう。

性同一障害で性別適合手術を受けた場合には、新しい性別に適した名前への改名が認められることが多いです。

人名漢字といって、どんな字でも名前に使えるわけではなく、名前に使うことのできる漢字は限定されています。

ひと昔前はその制限が今よりも厳しく人名に使えない漢字が多かったため、役所に出生届を出そうとして初めて使えない字であることがわかり、不受理になって別の字や名前で出し直すというようなことがよくありました。

名付けた当時認められていなかった漢字が現在では認められるようになったため、本来つけたかった字に変えるという方もいます。

ただ、思い通りの名前をつけられなかったのは親のほうなので、本人が「本来つけられるはずだった名前」にどれだけ思い入れがあるかは人によって異なるでしょうね。

そのほかには、旦那さんが昔の恋人や不倫相手の名前を無断でつけていたことが後からわかり、円満な家庭生活を壊すおそれがあるとして改名の正当な事由と認められたケースもあります。

旦那さんはちょっとした遊び心だったのかもしれませんが、やってはいけないことでしたね。

近所に子供の名前と同じ名前の風俗店ができてしまったので、改名を申請したいという親御さんもいます。

改名を希望する人にとっては、どれも深刻な悩みですよね。
 

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申請するにはどうすればいい?

申請自体の費用は高くありません。

申立書に貼る800円分の収入印紙、郵便切手、申立人の戸籍謄本(場合によっては住民票も)1通が必要です。

そのほかに名前に関する資料が必要になります。

場合によっては、家庭裁判所から文書で問い合わせがきたり、面談をすることもあります。

通称を長年使用していることを証明するには、通称名あてに届いた数年分の年賀状などを提出するとよいと言われています。

いつ頃から通称を使用しているかが重要なので、日付の入っているものが有効です。

性同一障害の方は医師の診断書を提出することになります。


却下されるのはどんな場合?

通称を使用していた期間が短いと却下されることがあります。
成人の場合は、6年から10年以上使用していないと難しいようです。

逆に言えば、姓名判断がよくなかったからという理由で通称を使い始めても、その通称を長年使用していれば改名できる可能性があります。

新生児につけた名前を変えたい場合は、最初からできるだけ本名を使用しないで保育園などでも通称を使って通称を浸透させれば、2,3年で認められることもあるそうです。

近所に同姓同名の人がいて間違われやすいことを理由にしても、数百メートル離れていると、郵便物の誤配などは一時的なものでいずれ落ち着くとされて却下されるケースもあります。

異性と間違われやすいという理由で改名を申請しているのに、改名を希望する新しい名前も中性的だったりすると却下されるようです。

改名申請は何度でもできますから、1度却下されても書類を整えて再度申請することもできます。

家庭裁判所に申し立てなくても改名できる?

名前の漢字を変えずに読み方だけを変えたい場合は、役所の住民登録の窓口で読み方の変更手続きをするだけですみます!

「この字をこう読ませるの~?」といつも言われてしまう難解な読み方になっている場合は、この方法が使えそうですね。

有名な改名事件

1970年代に起きた「田中角栄ちゃん改名問題」で、名前は変えられるということが広く世間に知れ渡りました。

「日本列島改造論」で有名な田中角栄氏は、小学校しか出ていないのに総理大臣までのぼりつめ、一時は日本の高度成長をけん引した人物ともてはやされていました。

田中角栄氏が有力な政治家だった頃、ある「田中家」に男の子が生まれ、両親は息子に角栄氏のような立派な人物になってほしいという願いから「角栄」ちゃんと名付けました。

ところが田中角栄氏は現職の総理大臣だった1976年にロッキード事件で逮捕されてしまい、連日マスコミが事件を報道したため、小さな「田中角栄ちゃん」が学校でいじめられるのをおそれた両親が改名申請をして認められ、当時話題となりました。

15歳未満の場合は、両親が法定代理人となって改名の手続きをします。

15歳以上なら、本人が申し立てをできます。

存命の人物にちなんで名前をつける場合は、先々どうなるかまで考えて命名したほうがよさそうですね。

キラキラネームはなぜ流行し始めたのか

90年代半ば頃からキラキラネームが増え始めました。

その理由は、

・インパクトがある目立つ名前をつけたい
・人とかぶらない名前をつけたい、世界にひとつしかない名前がいい
・音(読み)を優先するようになり、漢字の意味にこだわらなくなった
・海外でも通用する名前をと思う余り、日本語として奇妙な名前になってしまう
・マタニティハイの状態で名前をつけてしまう

などがあると言われています。

もちろん、キラキラネームにはデメリットもあります。

・小学校などでからかわれやすい
 いじめまではいかなくても、必ずつっこみは入るでしょうね。

・就職などで不利になりやすい
 採用するのは同世代の若者ではなく年配の人事担当です。
 親が常識がないならその子供もそうなのではないか?変わり者なのではないか?という先入観で見られる可能性があります。

・名前を間違われやすい
 病院で名前を間違って登録されたりすると、医療現場の混乱からリスクが高まると証言している医師もいます。


まとめ

名付けて間もない新生児の名前を改名しようとしている親御さんが結構多いことに驚かされます。

良くない意味を持つ字だということが命名した後でわかったという方が多いようです。

名前の響きだけを優先して、漢字の意味をよく調べなかったことが原因のようですね。

今回、赤池さんが学生のうちに改名できたのは幸運でしたね。

社会人になってから改名するとなると、通称と戸籍名が違っている期間に何かと不便なことが起こりがちです。

生まれた時の気持ちだけで命名するのではなく、大人になった後や年をとった時のことも考えて慎重に命名したいですね。