樹木希林遺作ドイツ映画『命みじかし、恋せよ乙女』ネタバレあらすじ

8月に公開される樹木希林さんの”遺作にして世界デビュー作”『命みじかし、恋せよ乙女』に関心が集まっていますね。ドイツではひと足先に公開されたこの映画のあらすじをご紹介します。完全ネタバレとなっていますのでご注意ください。



女性監督ドーリス・デリエ

ドーリス・デリエ監督は日本びいきで知られ、オペラ演出家、作家、教授としても活動している「ドイツで最も成功した女性監督」と言われる監督です。

2008年に小津安二郎の『東京物語』に着想を得て『Hanami』(日本未公開)という映画を監督したのを含め、これまでに日本を舞台にした映画を5本監督しています。

『命みじかし、恋せよ乙女』はその10年後を描いた作品で、デリエ監督は脚本も担当しています。

主役のカールを演じたゴロ・オイラーさんや準主役の入月絢さんは前作から引き続いての登場となっています。


(『命みじかし、恋せよ乙女』ミュンヘン・プレミアより)



あらすじ

両親の死から10年がたち、カール(ゴロ・オイラー)の生活は荒んでいた。
かつてはエリート銀行員だったカールは、今は職を失い打ちひしがれている。
酒びたりの彼に愛想をつかした妻アニータと娘のミアは離れていき、今は決められた日に娘と面会できるだけとなっていた。
カールは娘の誕生日には一緒に過ごしたいと願うが、つい酒瓶に手を伸ばしてしまう。

そんな時カールの元に、父ルディ(エルマー・ウェッパー) と親しくしていた日本人女性のユウ(入月絢)が突然訪ねてくる。
ユウは、カールの問いかけにあいまいな微笑みで答え、彼を元気づけようと、カールの両親がかつて住んでいた田舎の家を一緒に見に行こうと言い出す。

カールは廃屋となった両親の家にやってきて、そこで子供の頃からつきまとっていた魔物や霊を目の当たりにする。
カールの両親は繰り返し彼の前に姿を現しては、 怯える息子を叱責するのだった。

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ノイシュバンシュタイン城を訪れる途中、カールは義理の妹のエマに会う。
エマもまた、悩み事を抱えていた。
エマの夫クラウスは極右政党に所属する地元の有力政治家だったが、息子のロバートはリベラル派で相入れない。

ロバートは父が党を離れてくれるように説得しようとし、それに挫折して部屋に閉じこもるようになってしまった。
カールがクラウスたちと会っている最中に家族に激しい言い争いが起き、カールは耐えきれずその場を飛び出していく。

一方、カールとユウは互いに意識し合うようになり、接近していった。
ユウはカールの前で踊り、服を脱いで下着姿になる。
しかし、カールは劣等感にさいなまれてユウを拒絶してしまう。


(Frankfurter Allgemeineより)

少ししてカールは再び幻覚を見、父親との関係に悩むロバートが命を絶とうとしているのではないかとひらめく。
カールはロバートの家に駆け付け、ドアを破ってすんでのところで彼を止めることができた。

その帰り道、カールは酒に酔って森の中で寝込んでしまった。
のちに発見された時、カールはひどい凍傷を負っていた。
カールのきょうだいのカロラインとクラウスが病院に駆け付けたが、医師から辛い宣告を受ける。
彼はもう自発呼吸ができず、機械の助けを借りて生命を維持していたのだ。

だが、ふたりが彼のベッドへ近寄り生命維持装置のスイッチを切ると、不思議なことにカールは突如感情を見せ始めた。








やがてカールは驚異的な回復を見せ、短期間の外泊許可が出るまでになった。
きょうだいは献身的に彼の身の回りの世話をする。
カールの生活が荒れてからというもの、何年もの間彼は孤立していたので、こんなふうに家族がひとつになるのは久しぶりのことだった。

しかし家に戻ると、カールは自分の大切なものが凍傷で失われてしまったことに気づき愕然とする。
彼は逃げるように日本へと旅立った。
途中で姿を消してしまったユウに再会できることを願いながら。

カールは日本の民宿、茅ケ崎館に到着し、ユウの祖母(樹木希林)と出会う。
彼女はカールを手厚くもてなしてくれた。
しばらくたって、カールは彼女から衝撃的な事実を告げられる。
ユウは、亡くなった母親の後を追って何年も前にこの世を去っていたのだ。





まとめ

森の中の幻想的な映像が印象的ですね。

デリエ監督は小津安二郎に影響を受け、「家族」をテーマにするようになったそうです。

この作品でも、小津安二郎が滞在したことで知られる茅ケ崎館が樹木希林さんと出会う終盤の重要な舞台となっています。

樹木希林さんとゴロ・オイラーさんが通訳機を通じて交流を深めていくシーンが、本当に観光客と地元の人の触れ合いを見ているようでリアルです。

樹木希林さんの「あなた生きてるんだから、幸せになんなきゃだめね」は、今聞くと感慨深いですね。

よろしければ、樹木希林さんの展示会鑑賞記もご覧ください。

準主役の入月絢さんのプロフィールや出演作の記事は、こちらをご覧ください

ここまでお読みいただき、ありがとうございました。