無印良品が中国の商標裁判で負けた理由はなぜ?

無印良品を展開する株式会社良品計画が、中国で「無印良品」の商標を持つ現地企業との裁判で敗訴が確定し、約1000万円の支払いと謝罪を命じられました。本家であるはずの無印良品はなぜパクリ会社に負けてしまったのか、まとめてみました。

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無印良品は中国で商標出願していなかった

無印良品を展開する株式会社良品計画は、日本では1984年に商標を出願していました。

しかし、中国に商標出願をしないまま、中国進出をめざして香港に拠点をもうけたと言われています。

誤解をされている方が多いのですが、特許にせよ商標にせよ、日本で権利を取っても全世界で権利が認められるわけではありません。

商標権は国ごとの権利ですから、日本の商標はあくまでも日本国内だけの権利なのです。

中国で保護を受けたいなら中国に商標出願しなければいけなかったのですが、そうしないまま香港に事務所を開設したため、それを見た第三者の中国企業がいい商売になると思い、横から商標局に出願してしまったのです。

中国企業の海南南華がタオルやシーツなどの商品カテゴリーで「無印良品」の商標を出願して、2001年に登録が認められ、2004年に別の中国企業の北京綿田に商標権が譲渡されました。

その後2005年に良品計画が中国での商品販売を開始しますが、中国の法律上、良品計画は偽ブランド品と同じように商標法違反の存在となってしまったのです。

「無印良品Natural Mill」って何?

無印良品Natural Mill」は、北京棉田紡績品有限公司が展開している、日本の無印良品そっくりの店舗チェーンです。

もともとは繊維業の会社です。


(Business Insiderより)

「無印良品」をめぐる商標裁判のゆくえ

2001年、海南南華実業貿易が「無印良品」の商標を登録。

2004年、「無印良品」の商標が北京綿田に譲渡される。シーツやまくらカバーなど「24類」と呼ばれる商品カテゴリーにおいて、北京棉田が「無印良品」の商標を保有。

2005年、良品計画が中国に進出。

2011年、北京綿田が「北京無印良品」を設立。2017、2018年ごろから日本の無印良品にそっくりな「無印良品Natural Mill」の展開を始める。

2017年12月、一審で良品計画側が敗訴、良品計画は上告。

2018年11月、両社の訴訟が表ざたになり、良品計画が状況を説明するコメントを発表。

良品計画は、中国企業が商標を持っているのはタオルなどの商品カテゴリー「第24類」だけであり、それ以外のカテゴリーでは良品計画が中国で販売できることや、「第24類」を取り戻すべく闘いを続けているとのコメントしました。

しかし、その闘いに敗れてしまったことは上に述べたとおりです。

良品計画の当時のコメントはこちらです。

冒認出願とは何?

無印良品のように、もともとの関係者ではない第三者が無断で商標を出願することを、難しい言葉ですが「冒認出願」と言います。

冒認出願は「抜け駆け出願」と呼ばれることもあります。

無印良品と同じくらい有名な冒認出願には、アニメでも有名な「クレヨンしんちゃん」(中国名:蜡笔小新)が同じく中国で第三者によって商標登録されてしまったケースがありました。

「クレヨンしんちゃん」は、出版社の双葉社が1992年から管理している故臼井儀人さんのマンガです。

本家の双葉社からライセンスを受けたアパレルメーカーが「クレヨンしんちゃん」のグッズを中国のデパートで販売していたところ、商標権侵害として売り場が閉鎖され、在庫も押収されるという事件が起きました。

当然、双葉社側も相手の商標をつぶすべく裁判を闘ったのですが、相手の商標を取り消させるまでになんと8年かかっています

でも、最終的には本家の言い分が通ったのですから、無印良品よりは幸運だったと言えるかもしれませんね。

近年では、地方自治体のブランドなどが、知らぬ間に中国において第三者により出願・登録されてしまうケースがよく問題になっています。

冒認出願はなぜ起きるの?

日本でも中国でも、またそれ以外の国でも基本的に先願主義といって、出願は早いもの勝ちです。

しかし、日本をはじめとする先進国では、他者が権利を持っている用語について出願しても却下されてしまうのですが、中国ではその判断が甘く申請が通ってしまうケースが多いようです。

日本で有名であっても、中国で有名かどうかはまた別という問題もあります。

防ぐためには、他人よりも先に出願するしかありません。

JETROなどでは、将来中国に進出する可能性があれば、日本で商標出願するのと同時に中国でも出願したほうがよいと勧めています。

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無印良品敗訴に対する海外の反応

本家の無印良品が敗訴したことで、海外のMUJIファンからも驚きや失望の声があがっています。

「日本の小売ブランドMUJIはパクリ業者の”MUJI”に中国で訴えられて、敗訴したんだってさ

で、本物のMUJIが彼らの”経済的損失”に対して85000香港ドル支払って、”著作権侵害”を謝罪しなくちゃいけなかったんだって

中国はファンタジーの国なのかい?」

「MUJIよ
これでもまだ中国でビジネスがしたいの?
中国元に頭を下げ続けるの?
自分の尊厳を大事にしてくださいよ」

「マイケル・ジョーダン、ニューバランス、今度はMUJIか
次は誰だ?」

米国の元バスケットボール選手、マイケル・ジョーダン氏の名前が、中国のスポーツメーカーに無断で商標登録されてしまったことが少し前に話題になりましたよね。

中国の方からも恥ずかしいという声が聞かれました。
中国国内でも、この決定が支持を受けているわけではなさそうです。

まとめ

日本企業が努力して築き上げたブランドなどの価値が、何もしていない第三者に奪われるのは、同じ日本人として、つらいものがあります。

商標はいったん権利として認められてしまうと、取り消しを求めても膨大なコストや時間がかかる上、それだけのコストをかけたからと言って、最終的に日本企業がその商標権を取り戻せる保証はどこにもありません。

それを防ぐには、相手よりも1日でも早く出願することです。

より多くの方にこの問題を知っていただけたらと思います。