カルロス・ゴーン氏を支援した警備会社とは元グリーンベレー(米特殊部隊)のマイケル・テイラー氏の会社と言われており、レバノンの仲介者がテイラー氏を紹介したと報道されています。マイケル・テイラー氏の経歴や家族をまとめました。
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報道によると、カルロス・ゴーン氏は元グリーンベレーのPMC(民間軍事会社)にかかわるマイケル・テイラー氏とジョージ・アントワーヌ・ ザイエク氏が同行して日本から救出されたとのことです。
テイラー氏はアラビア語に堪能なアメリカ人で、ザイエク氏はテイラー氏と長年行動を共にしているレバノン系アメリカ人です。
数か月前にレバノン人の仲介者がテイラー氏をゴーン氏に紹介したと報道されています。
目次
マイケル・テイラー氏のプロフィール
(Dailymailより)
正式名:マイケル・L・テイラー
年齢:59歳
出生地:アメリカ・ニューヨーク、ステーテン島
職業軍人の養子となる。
略歴:
マサチューセッツの高校卒業後、4年間兵役につく。パラシュート部隊など。
専門はテロ対策。
退役後、PMC(民間セキュリティ)として米国国防総省などの契約を得て中東などで活動。
1994年法人化。
会社名:American International Security Corporation (AISC) 2012年まで。
2013年以降は、International Security Assistance Group (ISAG)として活動。
2015年、オリジナルブランドのスポーツドリンク販売会社、「Vitamin 1」を設立。
夫人:レバノン出身 (1985年結婚)
子供:息子3人(うち2人がレバノン在住の学生)
アラビア語が堪能
住まい:マサチューセッツ州ハーバードとレバノン、ベイルートに家を持つ。
宗教:キリスト教マロン派
マイケル・テイラー氏経歴
<レバノンとの関わり>
イスラエルの侵攻後の1982年、ベイルート入り。
レバノンのクリスチャン部隊と親交を深める。
ユタ州で裁判にかけられた時、テイラー氏は「レバノンのキリスト教社会と生涯にわたる関係を築いた」とコメント。
1985年、レバノン人女性のラミアさんと結婚。
結婚後ボストンに帰国し、3人の息子を育てる。
<レベノンからの帰国後の活動>
約10年間は予備役(有事の際や訓練の時のみ軍隊に召集される在郷軍人)。
1991年、レバノンのベッカー高原におけるハシシの密輸やマネーロンダリングなどを調査する、米国の秘密捜査に従事。
ハシシ3トンを押収して任務完了。
レバノンのクリスチャン部隊を訓練する民間の指揮官としてレバノンに再赴任。
1992年に、高品質な100ドルの偽札、「スーパーノート」の調査で米国当局に協力。
テイラー氏の協力により、「スーパーノート」を作ったのはイラン革命前にシャーに仕えていたイラン人グループであったことが判明。
テイラー氏は、米国政府のほか、ABC放送、デルタ航空、ディズニー・オン・アイスなどの民間企業とも仕事をしている。
2009年にニューヨークタイムズの記者がタリバンに拘束された際、ニューヨークタイムズがテイラー氏と契約していたことで有名になる。
(記者はのちに自力で脱出)
2010年に、テイラー氏とその会社は、詐欺や贈賄などの罪で法廷にかけられ、2012年に有罪となったそうです。
他にもさまざまな容疑が噂されていますが、ここには書きません。
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逮捕後、民間の仕事がメインに?
2012年の逮捕時に、テイラー氏は「アメリカ麻薬取締史上最大のオペレーションにおいて最も重要な役割を果たした人物」と称されていたそうです。
逮捕後、贈賄を認めて減刑されたそうです。
しかし、政府関係の仕事で有罪になったので、政府の仕事はやりづらくなったのかもしれません。
また、裁判に出たことで広く顔を知られることとなり、秘密捜査のようなオペレーションに携わるのは難しくなったのかもしれませんね。
これ以降、テイラー氏の請け負う仕事の内容が若干変わっており、「元配偶者によって誘拐された子供の奪還」などがメインになっていったそうです。
誘拐された子供を奪還した母親からはとても感謝されているそうです。
また、石油会社などとの契約もあったようです。
マイケル・テイラー氏はゴーン氏に共感?
テイラー氏は数か月前にレバノンの仲介者からゴーン氏を紹介されたそうなのですが、自分も収監された時に1年以上妻に会えなかった経験があるため、妻子に会えないゴーン氏に共感していたという情報がありました。
また、自分が罪に問われたのも贈収賄という金銭がらみの事件であったことから、金銭問題で追い詰められているゴーン氏に同情する部分があったのではないかという声もあります。
テオラー氏は取材に答えて、
「アフガニスタンでも贈賄は行っていたのに、それを理由に逮捕するなんて」
という趣旨のことを言っていたそうです。
米国も、テイラー氏の中東でのやり方を見て見ぬふりをしてきた面があるのではないでしょうか。
しかし、同じことを米国内、しかもFBI捜査官に対してされたら、摘発しないわけにはいかなかったのではないでしょうか。
それはテイラー氏から見ると、自分のやり方で長年恩恵を受けてきたのに、今になって手のひらを返すのか、といった反応になるかもしれません。
テイラー氏は取材に対し、
「ゴーン氏と自分は不公正な司法制度の人質だった」
と述べているそうで、共感する部分が大きかったのかもしれませんね。
何と言っても、摘発されて会社の金をほとんど失ってしまったので、ゴーン氏救出で得られる巨額の報酬が魅力だったことは間違いないでしょう。
マイケル・テイラー氏は高校アメフトの名コーチだった
※定期的に巡回して、無断転載を発見した場合は翻訳元をお尋ねしています。
※ご注意ください。
(2020.1.13追記)
マイケル・テイラー氏はアメリカ国外にいるそうですが、1月12日付けの地元紙によると、メールでの取材にこたえていたそうです。
また、テイラー氏について若干の追加の情報もわかりました。
マイケル・テイラー氏は、高校のアメフトのコーチをしていたことがあるそうです。
テイラー氏は高校の先生をしていたわけではなく、外部指導員だったようです。
(ローレンス・アカデミー時代のマイケル・テイラー氏、地元紙より)
ボストン近郊にあるローレンス・アカデミーという高校で、2008年から2011年までアメフトのコーチを務めて好成績を収めたそうなのですが、試合に勝つために体が大きくて強い選手を不正な方法で集めた疑いを持たれて辞任したそうです。
ローレンス・アカデミーは、日本人留学生にもおすすめの留学先とされている、私立の進学校です。
2010年に対戦相手の学校が、「選手の安全が懸念される」と言ってローレンス・アカデミーとの対戦を拒否したことで、話題となったことがあるそうです。
体重300ポンド(約135kg)以上の選手が複数いたのだとか。
テイラー氏の辞任後、ローレンス・アカデミー校はテイラー氏の在任中の2勝利が没収となり、3年間出場禁止などの制裁が課されたそうです。
ローレンス・アカデミーの担当者は、一部の生徒に金が渡っていたことをとっくの昔に認めたそうなのですが、
当のテイラー氏は取材に対して、
「辞任したのは、当時の校長の1試合で34得点上げられなければ辞めるというルールにしたがったまで」
「不正なことは何もしていない」
などと答えていたそうです。
テイラー氏の評価は真っ二つに分かれるようです。
違法すれすれの仕事をしていたと言われる一方で、地元の人や彼をよく知る人々からは、愛国者、良き父親、地域のために尽くしているなどととても人気が高いようです。
裁判の際も、地元の人々からの嘆願書が提出されたとのことです。
また、ローレンス・アカデミー校でも慕われていて、テイラー氏の指導が受けられないのならと、学校を去った生徒もいるそうです。
テイラー氏の好きな曲は国歌で、
自分のオフィスを星条旗で飾っているそうです。
マイケル・テイラー氏はAMAZONでスポーツドリンクを販売していた
(2020.1.19追記)
テイラー氏は2015年に「ビタミン・ワン」というローカロリーのスポーツドリンクを売る会社を設立したそうです。
(@QuarterbackGuru Twitterより・一部削除、2017年)
2018年には、「ビタミン・ワン」を販売する実業家としてインタビューを受けていました。
「ビタミン・ワン」の立ち上げ当初は、需要のないところへ広告を打ってしまったりして苦戦したそうです。
その後はAMAZONその他の通販サイトで販売しているとのことで、調べてみたところ、現在もありました(笑)
AMAZONといっても、日本のAMAZONではなく米AMAZONです。
(Amazon.comより)
マンゴー、レモンライム、パッションベリー、ピーチの4種類のフレーバーがあって、同じフレーバーの1ダース入り、ミックスの1ダース入りなど、いくつかのパッケージで売られていました。
「シュガーフリー、カフェインフリー、グルテンフリー」といった宣伝文句が並んでいます。
商品ページのレビューを見ると星5つの高評価がずらりと並んでいて、「甘すぎないのがいい」「味がよい」「ジムの後に最適」など、絶賛されていました。
その一方で、カスタマーレビューが7つしか入っておらず、少ないかなという気がしました。
もちろん、購入しても評価を入れない人がほとんどなのでこれだけでは判断できませんが、それにしても、数年間組織的に商売してきてレビューが7件とは少ないですよね。
カスタマーレビューの中には、賞味期限の切れた商品が送られてきた、といったクレームもありました。
商品の動きがよくなかったのかもしれませんね。
「ビタミン・ワン」の会社サイトもありました。
(Vitamin 1 公式サイトより)
「BUY NOW(購入)」のボタンを押すとAMAZONにリンクするので、やはり販売はAMAZONにおまかせのようですね。
会社サイトには、私書箱ですが住所などの連絡先も掲載されていました。
(Vitamin 1 公式サイトより)
テイラー氏は、メールで答えるのは好きなようですから、日本のメディアもメールすれば取材に応じてもらえるかもしれませんね(笑)
住所を私書箱で掲載するのは、自宅で開業している人によくあるパターンですので、もしかしたら、テイラー氏も自宅で「ビタミン・ワン」の事業を行っていたのかもしれません。
サイトをざっと見たところ、健康食品並みに原料にこだわっているようで、スポーツドリンクと健康食品の中間ぐらいのイメージで売っていたのかもしれません。
そのため、スポーツドリンクにしては高めの値段になってしまい、玄人受けはしても販売数は伸びなかったのかもしれませんね。
「ビタミン・ワン」は、2018年4月にプレスリリースを出しており、たくさんのサイトに掲載されていました。
プレスリリースによると、「ビタミン・ワン」の商品開発には3人の息子も関わっているそうです。
プレスリリース、会社サイトとも、「砂漠で脱水症状になる兵士の話」が強調されているのですが、テイラー氏は宣伝になると思って書いているのでしょうが、こういった話を強調されると一般の人には関係ない商品と思われてしまうので、広告にはどうかなという気がしましたw
「起業家インタビュー」の掲載時期も2018年6月になっていました。
この「起業家インタビュー」には、上記の経歴に加えてさらに目を引く経歴が書かれていたのですが、真実の記事なのかテイラー氏がお金を出して宣伝のために書いてもらった記事なのかわからないため、そこに書いてあることをご紹介できかねています。
ここからは個人的な感想です。
テイラー氏は、「ビタミン・ワン」の売上を伸ばそうと広告を頑張ったけれど、思うような成果が上がらなかったのかもしれません。
逮捕前の華々しい経歴に比べると、逮捕後は小粒な仕事ばかりになっていたようですし、スポーツドリンクを売り始めたのもそういったことと関係あるのではないでしょうか。
マイケル・テイラー氏の会社や、逃亡に使用したMNG航空、息子のピーター・テイラー氏についても気になったので調べてみました。
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