カルロスゴーン記者会見に対する海外の反応は?

1月8日、カルロス・ゴーン氏が国外逃亡後初めて、レバノンで記者会見を行いました。ゴーン氏の会見後の海外紙の報道をご紹介します。

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記者会見ではなく「メディア懇談会」

ゴーン氏側は、記者会見ではなく「メディア懇談会」としていて、「招かれた」メディアだけと懇談するというスタイルを取っていました。

世界各国から130人の記者が招かれましたが、日本から入場を許されたのは4人のみで、150人しか入れなかったそうです。

会見場所は予想された大きなホテルではなく、カタール大使館の隣りにある「レバノン・プレス・シンジケート」の敷地内で行われました。

記者はゴーン氏を囲むようにコの字型に3列に座り、その中央でゴーン氏が会見したそうです。

記者が「近さ」を感じられるようにするためだそうです。

ゴーン氏は、日本メディアをわずかしか招待しなかった理由として「公正に報じてくれるメディアを選んだ」としていましたが、もうひとつの理由として「スペースが限られていること」を挙げていました。

広い会見場にすると、来てほしくないメディアを断る理由がなくなってしまうので、あえてあまり広くない場所を選んだのではないでしょうか。。。

会見日時が1月8日の夜だった理由は?

ゴーン氏が会見すると伝えられてから実際の会見まで、ずいぶん日にちがあいていたように感じませんでしたか?

会見の日にちが1月8日に決まった理由は、1月6日はレバノンのクリスマス、1月7日は旧ソ連各地やエジプトのクリスマスでアルメニアも死者追悼の日で休日だったためだそうです。

また、会見は当初午前中に予定されていましたが、米国やアジアとの時差を考慮して、レバノン時間の午後3時(日本時間夜10時)に変更されたそうです。

広報専門のコンサルタントが付き添い

フランス紙によると、キャロル夫人、3人の弁護士とともに、フランスのPRエージェンシー、Image 7(イマージュ・セット)のボス、Anne Méauxさんが付き添っていたそうです。

Anne Méauxさんが雇われたのは、なんと1年前の2019年の1月だそうです。

ゴーン氏はずっと前から広報の専門家と契約して、スピーチで「自分をどう見せるか」戦略を練っていたってことですよね。

最初にひとりで英語で自分の主張を話し、次に各国語で質問に答える会見形式は、このImage 7のMéauxさんが構成したもので、ピックアップするジャーナリストはゴーン氏が選んだのだそうです。

しかし、予定ではひとりで話す時間は30分前後のはずだったのが、1時間以上も話してしまい、周囲にさえぎられていましたね。

何人も付き添っていたけれど、ゴーンさんの勢いを抑えることはできなかったようです。

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インターポール(ICPO)のゴーンの国際手配書は写真なし

フランス報道によると、ゴーン氏の会見が始まってしばらくしてインターポール(ICPO)がゴーン氏の国際手配書を公開したそうです。

ところが、今インターポールに指名手配されている人は 7,192人いるそうなのですが、ゴーン氏だけ写真を掲載せずに、写真欄がブランクとなっていると指摘されています。

「インターポールは水曜日、
 カルロス・ゴーンにレッドノーティス(赤手配書)を出した
 これで 7,192人のテロリストやギャングと同じになった
 でも彼らと違って、ゴーンのページにだけ写真がないんだ」
 (ル・フィガロ記者 Paul Carcenac氏ツイッター)

ゴーン氏の写真が手に入らないことはないと思いますので、
インターポール(ICPO)は、本気でゴーン氏を容疑者扱いするつもりがないんじゃないでしょうか。

日本では、インターポール(ICPO)に国際手配を要請したことで「良かった」という声もありましたが、喜ぶのは早いかもしれません。

フランスでは通訳を用意していないテレビ局も

面白かったのは、フランスでは、ゴーン氏はフランス人というイメージが強くてまさか英語で会見すると思っていなかった人が多いようです。

機材トラブルで、通訳が最初の30分間仕事にならなかったという局もあれば、

通訳自体連れてきていなくて、茫然としていた局もあったそうです(笑)

当然ながら、視聴者からは厳しいクレームの嵐だったそうですよ。

ある意味、フランス人らしいエピソードだなと思いました。

ラジオ局のインタビューで疑惑に答える

ゴーン氏は、会見の後フランスのラジオ局とのインタビューに応じたようです。

まさに口八丁w

[国外脱出について]

「妻キャロルさんは脱出に関わっていない」
「自分は行動する時は速い」

[リオデジャネイロ、パリ、ベイルートの邸宅について]

「秘密の資産ではない
 日産の資産だ
 会社のCEOが会社のために仕事をして利益を上げているのだから
 私は住む権利がある」

CEOは解任されたはずですが、ゴーン氏の中では辞めたことになっていないようですね。

[ベルサイユ宮殿を貸し切っての結婚パーティについて]

「ベルサイユはもはやルイ14世のものではない
 フランスの才能やオープンさの象徴だ
 外国人はみんなベルサイユへ行きたがるじゃないか
 だから私も行きたかった
 何もルイ14世やマリーアントワネットになりたかったからじゃない」

でも、給仕にマリーアントワネットのような18世紀の衣装を着せていたのですよね。。。

ゴーン会見後の海外紙の報道

海外紙の報道のうち、日本ではあまり引用されていないと思われるものを拾ってみました。

”クリスマスパーティ”の誤報の理由は

ゴーン氏の救出のために”クリスマスの演奏をするバンドの扮装をした人々が家に入っていった”という情報は、ゴーン氏の支援実行委員会のコーディネーター、Imad Ajamiが「おそらくこうだったのではないか?」という推論を述べたのが、事実であるかのように広まったものだそうです。(by AFP)

人の話はよく聞かないといけませんね(笑)

フランスのパスポートが2通あった理由

ゴーン氏がフランスのパスポートを2通持っていたのは、ビザ申請などでパスポートを提出する必要がある一方で国外出張の必要のある市民に与えられる例外的な特権だと伝えています。(by ブルームバーグ)

ビザ申請中にフランス国外へ出張しなければならないような場合には、例外的に2通目のパスポートが発行されることもあるようですね。

ゴーン氏の場合も、日本国内では外国人はパスポート携帯が義務付けられているので、この規定の延長だったのかもしれません。

”MNGがゴーン氏を刑事告訴”は誤報?

海外紙によると、

逮捕されたのはMNG Jetの社員

ゴーン氏一行が搭乗した2機はMNG Jet Havacilik AS社所有

で、どちらもMNGグループの会社です。

日本のニュースに、「トルコ航空会社がゴーン氏を刑事告訴」と出ていましたが、

親会社のMNGホールディングは、「搭乗者の情報を偽って不正に会社の飛行機を使用した自社社員」に対して刑事告訴をしたのであって、ゴーン氏を刑事告訴したというのは誤報のようです。(by ブルームバーグ)

情報が錯綜しているようですね。

プライベートジェットは日本への引き渡しをおそれて遠回り?

プライベートジェットの飛行ルートを検証したメディアによると、プライベートジェット機が飛んだルートは最短ルートではなく、途中で日本の当局に存在を知られて着陸を命じられることをおそれて、北寄りのロシア上空のルートを取っていると見られるのだそうです。


(Bloombergより)

日本との間に犯罪人引き渡し条約のある韓国の領空に入らないように、北北西の進路を取って、ほぼずっとロシア上空を飛んでいるそうです。

ゴーン氏は旧ソ連時代にAvtoVAZ(現在はルノー・日産連合の一員)というロシアの自動車会社を立て直した経験があり、ロシアから支援を得られる可能性があるのだそうです。

そこで、中国、モンゴル、カザフスタンなどの上空を飛んだほうが速いのですが、あえてそうせずに、何かあればモスクワに着陸して救援を求められるようにロシア上空を飛行するルートを選択したのではないかと見られているとのことです。(by ブルームバーグ)

今後有益な情報が出てくることを祈ります。

関連記事はこちらです。

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