テドロス事務局長とは?wiki風経歴&国籍と中国との関係は

中国で発生した新型コロナウイルスが世界的な広がりを見せており、心配な状況が続いています。

記者会見を行ったWHO事務局長のテドロス・アダノム氏が気になったので、国籍や経歴を調べてみました。

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正式名:テドロス・アダノム・ゲブレイェスス

生年月日:1965年3月3日生まれ(54歳)

国籍:エチオピア

出生地:エリトリア、アスマラ市

テドロス氏の一家はもともとエチオピアのティグレ州という土地の出身でしたが、一家がアスマラ市に住んでいた時にテドロス氏が生まれ、大学までアスマラで過ごしたそうです。

現在、アスマラ市を含む北部の地域はエチオピアから独立して、エリトリアという別の国になっています。

<エチオピア周辺の地図>


(出典:朝日新聞デジタル)

※無断転載はお断りします。
※定期的に巡回して文章を盗用されている方には
ご連絡していますので、ご注意ください。

既婚、子供5人

学歴:
現在のエリトリアの首都にあるアスマラ大学を1986年に卒業。

イギリスのロンドン大学、LSHTM ロンドン・スクール・オブ・ハイジーン・アンド・トロピカル・メディスン(University of London, London School of Hygiene and Tropical Medicine)で感染症学の修士号を取得。

LSHTM ロンドン・スクール・オブ・ハイジーン・アンド・トロピカル・メディスンは、公衆衛生を学べる複合学部としてはヨーロッパで最大の規模を誇っているそうです。

その後、2000年にノッチンガム大学で公衆衛生学の博士号を取得。

専門:
マラリア研究者として数多くの論文がある。

職歴:
1987年、junior public health expertとして保健省の南エチオピアのマラリア対策チームに参加

2005年~2012年、エチオピア保健相

2012年11月、エチオピア外務大臣

2017年1月、第8代WHO事務局長

エチオピアはどんな国で中国との関係は?

エチオピアは、世界最貧国ワースト28か国に入る貧しい国で、経済発展をはばむ要因として、

・国民の教育水準

・医療水準

・国土が内陸にあるため、物流にコストがかかる

・多くの民族や言語が乱立し、ひとつにまとまりにくい

・灌漑設備や上下水道の整備の遅れ、電力不足

などがあげられています。

<中国の一帯一路計画のかなめ>

エチオピアは中国の提唱する「一体一路」のモデル国家として位置づけられており、中国企業が積極的に投資を進めています。

「一体一路」とは、習近平総書記が提唱した広域経済圏構想で、

中国からユーラシア大陸を経由してヨーロッパにつながる陸路の「シルクロード経済ベルト」(一帯)と、

中国沿岸部から東南アジア、南アジア、アラビア半島、アフリカ東岸を結ぶ海路の「21世紀海上シルクロード」(一路)

をつくろう、というものです。

エチオピアには中国企業の進出がめざましく、中華料理店も中国人も多いそうです。

特に、エリトリアが分離独立してから内陸国となったエチオピアでは、輸出入には隣国ジブチの港を使わなければならず、

ジブチとエチオピアを結ぶ古い鉄道は戦争で荒廃して使用できなくなっていたため、

鉄道インフラの整備が急務となっていました。

2016年には、エチオピアの首都アジスアベベと隣国ジブチを結ぶ国際電化鉄道、アジスアベベ・ジブチ鉄道が開通しましたが、

これも建設費の7割を中国輸出銀行が出資し、中国企業が運転やメンテナンスなどを担当するのだそうです。

物流をトラック輸送にたよっていたエチオピアにとっては、画期的なできごとだったと思います。

中国にとってエチオピアが一体一路の要であるのと同じように、

エチオピアにとっても中国は重要な出資者なのではないでしょうか。

テドロス氏のエチオピアでの実績は?

テドロス氏は2005年から2012年までエチオピアの保健相を務めました。

任期中、

女性や子供の保健衛生を改善するために40,000人の女性保健ワーカーを育成して配置し、

産婦死亡率を75%削減したそうです。

また、医師不足改革として、医師、看護師、薬剤師などを養成して

3,500箇所の保健センターを設立したそうです。

その結果、新生児死亡率を23%減少させ、5歳までの子供の死亡率を28%減少させたとして、

国連に「サクセス・ストーリー」と称賛されたそうです。

さらに、先進国のリーダーと積極的に関係を築き、

当時のアメリカ大統領ビル・クリントン氏やクリントン・ファウンデーション、

ビル・ゲイツ氏のビル・アンド・メリンダ・ファウンデーションなどから

資金や専門知識を提供するパートナーシップを取り付けています。

活動はエチオピア国内にとどまらず、さまざまな保健衛生に関する国際的な議会の議長も務めています。

保健相時代から外交手腕を発揮していた方のようですね。

これらの実績から、テドロス氏は2012年にエチオピアの外務大臣に任命されています。

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テドロス氏のWHO事務局長選挙選

テドロス氏は、2016年5月、アフリカ連合の公認候補としてWHO事務総長に立候補しています。

テドロス氏の選挙キャンペーンは、東アフリカ諸国の支出したファンドが支援していたそうですので、

アフリカ諸国の統一候補といってもいい位置づけだったのではないでしょうか。

選挙戦を闘うにあたって、アメリカのロビー会社、Mercury Public Affairsも雇ったそうです。

2017年1月、テドロス氏は第1回、第2回の投票ともほとんどの票を獲得して、アフリカ人として初のWHOトップに選出されています。

186票中133票獲得したのだとか。

前任の事務局長は、中国のマーガレット・チャン氏(医師、元香港衛生署長)です。

マーガレット・チャン氏の在任中にはエボラ出血熱の流行があり、WHOは対応が遅すぎると批判されたため、テドロス氏は就任時に、もし疫病が流行したら「迅速かつ効果的に対応する」とコメントしていました。

テドロス氏のスキャンダルとは?

[コレラ流行隠蔽疑惑]

選挙期間中、対立候補のイギリスのNabarro博士に

「テドロス氏は、エチオピアの保健相在任中に3回コレラが流行したのを隠している」

と批判されたそうです。

それに対してテドロス陣営は、「コレラではなく急性下痢症候群だった」

と疑惑を否定したそうです。

WHO関係者からは、もしコレラと確認されていたら、必要な薬品などを届けることができたはずだと指摘されています。

テドロス氏は、流行しているのがコレラと確定されないように

わざと実験室での検査を行わなかった疑惑を持たれているそうです。

また、テドロス氏の保健相時代の実績や経歴は誇張されているとの批判もあります。

[ムガベ大統領親善大使 任命騒動]

2017年10月、テドロス氏はジンバブエのムガベ大統領を「WHO親善大使」に任命して、WHO加盟国から強烈な批判を浴びました

ムガベ大統領が就任してからジンバブエの保健衛生はむしろ後退していると指摘され、

人権上の懸念もありました。

ムガベ大統領は、1987年に就任してから反対勢力を強権的に取り締まっており、

特に2008年には大統領選に敗北したとみられるのに、

選挙結果を公表せずに大統領職にとどまったため国際社会から猛批判を浴び、

イギリスなどはいったん授与した勲章をはく奪したほどの人物です。

WHO加盟国からの猛烈な批判にあって、テドロス氏はわずか4日で「WHO親善大使」の信任取り消しに追い込まれました。

欧米のメディアからは、
director general(事務局長)をもじって、dictator general(独裁局長)とまで揶揄された
そうです。

ムガベ大統領のように評判のよくない人物を、なぜ親善大使にしたかったのでしょうか。

テドロス氏は中国に忖度?

テドロス氏の前任の事務局長は、マーガレット・チャン氏という中国人なのですが、

テドロス氏の就任演説の動画を見てみると、

テドロス氏の名前が呼ばれた途端、テドロス氏以上に満面の笑みで大喜びして、

手を引っ張って壇上に上がっていきます。

マーガレット・チャン氏は前任者ですから、テドロス事務局長と一緒に仕事をしてきたわけではないのに

なぜこんなに親しげなのか、違和感を感じてしまいます。

(YouTubeより)

テドロス氏は、1月23日に「中国で発生しているウイルスは世界的な脅威ではない」と述べたことで

世界中から批判を浴びました。

日本では、「WHOが危険度は中程度としたのは事務的ミスだった」と1月28日に報道されていましたが、

原文では「事務的ミス」ではなく“error in the wording.” (言葉の誤り)となっていました。

なぜ正確に報道しないのでしょうかね。

こちらはWHOが1月29日に発表したプレスリリースです。

このプレスリリースの中で、テドロス氏は繰り返し中国を称賛しており、

「中国国外での感染者は68人のみで、死者も出ていない」(1月29日現在)

中国がその経済を犠牲にして対策を施したおかげで、中国国外の患者数はこの程度にとどまっている

と強調しています。

また、尽力している中国の関係者には感謝しているのですが、

とばっちりで大変な苦労を強いられている中国以外の関係者へのねぎらいの言葉はひとつもなく

国際機関のトップとしてどうだろうという気がします。

WHOは1月31日には「ウイルスが世界的な脅威である」と認めましたが、

「世界的な脅威と発表するのは、
中国で起きていることのためではなく
中国以外の国で起きていることのためだ」

などと言い訳がましい発言をして失笑を買っています。

また、
「中国の対応は過去にないほど素晴らしい。中国の尽力がなければ中国国外の死者はさらに増えていただろう」

などと繰り返し述べています。

テドロス氏辞任要求の署名活動始まる

Twitterでテドロス氏の辞任を求める署名活動が始まっています。

始めたのはカナダ人のようです。

2月2日現在、73000人余りが署名しています。

テドロス氏は、今もWHOのトップとしてというよりエチオピアのために発言したり活動しているのではないでしょうか。

中国の方だけを見るのではなく、各国のために発言していただきたいものです。

母国エチオピアは中国から莫大な経済援助を受けていますので、

選択の余地がないのかもしれません。