アイヌを中国から商標出願したのは誰?登録の見込みは?

日本の特許庁に中国から「AINU(アイヌ)」という商標が出願され、話題になっています。出願人や出願内容、登録される可能性があるのかなどについて調べてみました。

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中国人が個人で「アイヌ」を商標出願

商標は「AINU」と英文字で出願されています。

まだ審査待ちの状況ですので、
登録されてしまったわけではありませんが、
アイヌ関係者はお怒りのようです。

まずは記事元を確認してみましょう。

中国広東省の個人が3月、日本の特許庁に「AINU」を商標登録出願していたことが3日、同庁の開示資料などで分かった。アイヌ文化施設「民族共生象徴空間(ウポポイ)」の開業が今年予定されるなど、アイヌ民族への関心が高まりつつある中、一部のアイヌからは「便乗商法ではないか」などと反発の声が上がっている。

開示資料によると、スマートフォンケースやパソコンのマウスといった商品の商標として出願。出願人は中国広東省深セン市の個人名となっており、2日時点で審査待ちとなっている。特許庁は「商標法に基づいて判断する」とした。(出典:共同通信)

 

アイヌとなんの関わりもない中国人がアイヌの商標を取って権利を独占しようとしているのですから、関係者が心配になるのも無理はありませんね。

出願情報は特許庁で公開されていますので、ご紹介します。


(出典:特許庁サイト)

出願人の住所は中華人民共和国、お名前は廖暁飛氏となっています。

「AINU」は今年3月に出願され、スマホケース、コンピュータ用バッグなどの第9類を商品区分としています。

AINUブランドの商品を日本で生産・販売する予定なのでしょうか?

代理人の弁理士さんはすべて同じ方のようです。
弁理士さんのお名前で事務所を検索すると、ホームページの英語版もかなりしっかりと制作されていて、なるほどこれなら外国人のクライアントにアピールするだろうなという印象を持ちました。

廖暁飛氏は企業家それとも商標ゴロ?

ネットでは、「廖暁飛氏は商標ゴロではないか?」なんていう疑問の声もあがっていました。

「商標ゴロ」とはざっくばらんにいうと、商品名や流行語を他人より先に商標出願して、その言葉を使用している企業などに使用料を請求するのを商売としている人のことです。

廖暁飛氏が出願している商標を検索すると、廖暁飛氏は現在公開されているだけでも、昨年11月から今年3月にかけて、立て続けに13件もの商標を出願していました(!)

すべてステータスは審査待ちでした。

現在公開されている、廖暁飛氏が出願中の商標の一覧をあげてみましょう。

「FonJon(フォンジョン)」
「Jadoath(ジャドース)」
「ANZUO(アンズオ)」
「OHHLEE(オーリー)」
「QIANSTAR(チャンスター)」
「SIMASA(シマサ)」
「TOOBA(ツーバ)」
「XISUI(キシクイ)」
「AINU(アイヌ)」
「Butiho(ブチホ)」
「Nitamy(ニタニー)」
「Noviss(ノビス)」
「DHKNOTS(ディエイチケイノッツ)」

ご覧の通り、中国では意味の通る名前なのかもしれませんが、アイヌ以外は日本人にとっては馴染みのない言葉ばかりです。

ですから、日本人に売る目的で商標を出願しているとは、これを見た限りではちょっと考えられませんね。

しかし、商品の種類が菓子類から化粧品、家庭用マッサージ機などとばらばらで、本当にこれらの事業をおひとりで行っているのか疑問ですね。

すべてすでに中国で売り出し中のブランド名で、日本への展開を狙っているのでしょうか?

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「アイヌ」の商標はすでに複数登録されている!

今回、出願人が中国の方だったために話題になっていますが、「アイヌ」という言葉を含む商標はほかにも多数出願されていて、すでに登録になっています

これも結構問題だと思いますが、全くといっていいほど話題にのぼりませんでしたね(^^;

アイヌの関係団体と思われる団体の商標出願や、
アイヌにゆかりのある町と思われる自治体の商標出願はわかるのですが、
関係があるのかどうか怪しいと思われる商標もありましたので、
一部ご紹介します。

「アイヌの力」
「アイヌの涙」
「アイヌ カムイの力」

これらはすべて同じ会社が所有している商標で、すでに登録になっています。
シャンプーやトリートメントなどの商品を指定しているようです。

微弱荷電技術の会社だそうで、本社も大阪ということなのでアイヌとは関係あるのでしょうか。

「アイヌの涙」

これは別の会社が所有している商標で、福岡だそうですのでこちらもアイヌとはあまり関わりがなさそうです。
商品の画像を入手しました。


(「アイヌの涙」販売サイトより)

「アイヌの涙」は、ハッカ入りでひんやり感のある入浴剤のようです。

北海道の涼しさを連想させるために「アイヌ」という言葉を使ったようですね。

でも、アイヌの関係者団体の方が事前に知っていたら、民族名を無関係の会社が商売に使わないでほしいと訴えたかもしれませんね。

むしろ、アイヌの関係者の方々がアイヌの名前をつけた商品を販売して、協会の運営費にでもあててくれたらと思うのですがいかがでしょうか。

「アイヌ」商標は登録されるのか

すでに複数の「アイヌ」という言葉を含む商標が登録されてしまっていますので、
民族名だからという理由だけでは却下できないかもしれませんね。

しかし、他が「アイヌの〇〇」という複合語なのに対して、
こちらはずばり民族名そのものですので、
品質誤認を与えるという理由で拒絶されるかもしれません。

もしくは、ヘンリー王子の「サセックス・ロイヤル」と同じように、
関係者の抗議で、自ら取り下げることになる可能性もありますよねw

(2020.7.12追記)
この出願人の方の出願中の商標は日本語ではない言葉ばかりなので、本当にアイヌ民族の意味で「AINU」を出願したのか疑問に思い、調べてみました。

すると、中国特許庁に「AINU」という商標が4件も登録されていました。

「爱女」という字を書くようです。

日本語では「愛娘」という意味になるようです。

廖暁飛氏の出願は「愛娘」の意味の方で、たまたま日本の民族名のアイヌと似てしまっただけなのではないかという気がします。

それを共同通信社がアイヌ文化施設「民族共生象徴空間(ウポポイ)」の開業と結びつけて便乗商法と紹介したので、ネットで騒ぎになってしまったのではないでしょうか。

もっとも、たまたま音が似てしまっただけでも商標登録には障壁となるかもしれませんが。

ところで、最近、商標出願が話題になることが増えてますよね。
電通のアマビエ商標出願についてもネットで批判が巻き起こりました。
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