忍者の年収945万円 フェイクニュースの情報元は日本の機関だった?!<音声・和訳あり>

「年収945万円でも忍者不足」というフェイクニュースが拡散して伊賀市に世界中から応募が殺到した騒動で、米ラジオ局が謝罪、訂正を行いました。年収の情報の出所は日本のある機関だったことがわかりました。

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発信元のラジオ局が謝罪コメント発表、番組を訂正

騒動の発端は、アメリカの「ナショナル・パブリック・ラジオ(NPR)」というラジオ局が7月16日に公開した、経済を扱うポッドキャスト「プラネット・マネー」内の、「Japan’s Ninja Shortage(日本の忍者不足)」という番組が流れたことでした。

(※番組を聴くには、開いたサイト上の再生ボタンをクリックしてください。)

ポッドキャストでいつでも聞ける番組なので、口コミで広がって100件もの応募が来てしまったのでしょうね。

話し手は、実際に日本に取材に行ったサリーさんという記者と、経済記事が専門のステイシーさんという番組ホストのふたりの女性です。

7月27日夜の時点で、ご覧のように元の番組は配信中止になっていて、代わりに冒頭に謝罪コメントが吹き込まれた新しいバージョンが公開になっていました。

文字になってないとちょっと・・・という方には、文字起こしされたものもありました。

情報の大元は「日本フォーリン・プレス・センター」?

NPRは謝罪コメントの中で、「年収に関する情報は『日本フォーリン・プレス・センター』から得たものでした。一例を示した数字であって、伊賀市など特定の市の数字ではありませんでした。」としています。

日本フォーリン・プレス・センターは、海外の報道関係者に日本に関する情報を提供する機関のようです。

これってもしかして、日本フォーリン・プレス・センターが日本を実際よりよく見せようとして、高額な数字を海外メディアに流したんじゃないでしょうか?

そのほかにも、番組が不正確になってしまった原因はたぶんこんなことかなあと思った点をまとめてみました。

◆経済問題を取り上げる番組なのに無理やり伊賀忍者をテーマにしたため、「伊賀市が経済的に困っている。その打開策は忍者で観光客を引き寄せることだ」という短絡的な図式になってしまい、そのストーリーに沿って番組をつくってしまったこと。

◆日本まで取材に行った記者の方が知識があるのに、番組進行は全く日本文化に関心のない記者が務めていたこと。

◆このラジオ局は、間違った記事や番組を流すことにあまり抵抗がないらしいこと。

公開済みの記事の訂正の一覧が掲載されたページがありました。

驚くのはその件数で、毎日4,5件、多い時は1日に10件も「訂正」していました。


(NPRサイトの訂正記事欄)

訂正内容は、名前を間違って紹介した、日時が間違っていた、スペルが違ったというものから、事実関係そのものが違っていたものまであるようです。

訂正依頼専用のフォームまであって、訂正が日常茶飯事なのがわかります。

公のラジオ局でこれはどうなのという感じです。

※訳文の無断転載はおことわりします。

【NPRサイト訳:日本の忍者不足について】

サリー: 日本から戻ってきたところです。日本は人口減少という問題に直面しています。

ステイシー(番組ホスト): まずなんと言っても人口問題ですね。でも、人口減少は経済問題でもありますね。経済がまわるには、ふたつのものが必要。ひとつ目は人々が買う商品。2番目は商品を買う人々。

サリー: そして、人口が減少するということはその両方が縮小するってことですよね。この問題は、日本では伊賀市のような地方で特にひどいんですよね。伊賀は日本の中央にある小都市で、年間1000人も人口が減少しています。でも、伊賀市にはひとつ売りがあります。それは、忍者発祥の地だということです。

(中略)

ステイシー: 忍者について私が知ってることは、たぶんほとんど映画の知識だけ。『アメリカン・ニンジャ』、『ニンジャ・アサシン』、『リベンジ・オブ・ニンジャ(邦題:『ニンジャⅡ:修羅ノ章』)』・・・。

サリー: (笑)

ステイシー: でも、もちろん忍者は実在したもので、実際にあった仕事です。日本では中世から続いています。

サリー: そう。私は日本の伊賀市で忍者の師匠や忍者学の学者、先生と話してきました。ふたりとも、ハリウッド映画の影響で忍者に関する誤解が広まっていると困っていました。今ステイシーが挙げたような映画もそうだし、忍者の仕事のいちばん重要な部分が戦闘であるかのように描かれた映画が多いですよね。実際はそうではなかったんですよ。忍者は兵士だったけれど、スパイでもあった。忍者の仕事は、敵の中に溶け込んで情報を収集し、敵を探ることだった。だから忍者はよく変装して現れることがあったんです。農民や、目立たない僧侶になりすましたりしてね。彼らは心理学や魔術も駆使していたと言われています。

ステイシー: まあ、それ素敵ね。

サリー: そこが伊賀市の岡本市長が期待している点なんです。人々の興味を引く点をね。

ここまではまともですよね。

三重大には忍者の歴史を研究している先生方がいて、忍者学の専門課程もあるそうなので、「忍者学の先生」はおそらく三重大の先生でしょうね。

この後、市長のインタビューはすぐに通訳の音声に切り替わります。
通訳が何かやらかしたのではと気になります。

岡本市長(音声は通訳):今、忍者っていうのは世界中の人たちがあこがれてるんです。彼らは忍者になりたがっていますし、忍者を見たがっています。

ステイシー: 数年前までは、岡本市長の町、伊賀市の人口は10万人くらいでした。でも、日本の他の都市もそうですが、伊賀市は人口が減っています。経済を活性化させるのに必要な2つのカギ、売る商品と商品を買う人々が足りないんです。そして伊賀のような町からは、若者の多くが去っていきます。若者は東京や横浜のような大都市での生活を望むんですよ

それを言うなら「東京や大阪」じゃないの?とつっこみたくなりますね(笑)。

忍者募集はさておき、伊賀市の人口減少や移住を歓迎しているのは本当のようです。

移住相談会をやっていて、伊賀市のサイトに5ヶ国語で紹介されていました。

ステイシー: それで岡本市長は、地域経済を発展させて雇用を生み出し、経済的な安定を得るために何かしなければと思っていらっしゃいます。伊賀市が住みよい町、生活して子供を育てるのに適した町だと感じてもらえるように。伊賀市はかつて忍者の遺産をプロモーションして、観光客を惹きつけてきました。ですから忍者を頼りにするのは自然なことですよね。で、サリー、あなたは伊賀市へ行って岡本市長に忍者を使った観光プランについて聞いてきたのよね?

(インタビュー音声に切り替わる)

サリー: (市長に)あなたが今何を着ているか話していただけますか?ラジオなので見えませんから。

岡本市長:ええと、私が着ているのは、ざっくり言うと(ここから通訳)いちばん位の高い忍者しか身に着けることがゆるされなかった衣装です。だから、現代では、市長である私しか着られないんです。

市長はユーモアのある方ですよね。

この衣装で記者に会ったんですね。もちろん、伊賀市のPRのためですけどね。

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ステイシー: じゃあ、彼の着ていたものを説明しなきゃ。

サリー: (笑)

ステイシー: いちばん位の高い忍者は何を着てたの?

サリー: 岡本市長が現れて、完璧な忍者の装備を身につけていたわ。袖は黒い魚網のようなものでできていて、丈の長い赤の羽織りを羽織っていて、黒のヘッドバンドをつけてたわね。シルベスター・スタローンが『ランボー』でつけてたようなやつをね。

ステイシー: それが忍者の着るもの?

サリー: ええと、それが最高位の忍者なのよ、ステイシー(笑)。

ステイシー: 私の見てきた映画はみんな間違っていたようですね。それに、明らかに、この衣装はファッション面からのチョイスじゃないですね。今日本は、観光ブームが最高潮です。去年日本を訪れた観光客は2900万人。これはおととしに比べて20%くらいの増加です。でも伊賀市はあまりその恩恵には預かっていないんです。それで岡本市長は、観光客と彼らのお金を伊賀市へ取り込もうとしているんです。

サリー: 市長が観光客にいちばん来てほしいと思っている観光スポットは、忍者博物館なんです。それは・・・

ステイシー: 伊賀の忍者博物館に誰が行くの?

サリー: 私は博物館へ行ったわよ。見るものがたくさんあったわ。展示品は全部ガラスケースの中に入ってた。見た目が恐ろしい武器がたくさんあったわね。毒矢とか手裏剣とかね。映画の中に出てくる星を投げるやつね。

ステイシー: 手裏剣って何?

サリー: 映画の中で忍者が投げる星の形をしたあれよ。

ステイシー: ああ、あれがあったのね。

サリー: そう。

ステイシー: OK。安心したわ。

サリー: (笑)忍者のことがよくわかるビデオもたくさんあるの。だから手裏剣のこともわかるわよ。

(日本語のビデオの音声流れる)

サリー: とても静かだったわ。でも11時になると最初の忍者ショーが始まるの。屋外でね。

ステイシー: 忍者ショーがあるの?

サリー: そう。それまではほとんど人がいなかったのに、急に混み出してね。親子連れやティーンエイジャーたちでいっぱいになったわ。ステージにスモークがたちこめて、忍者ショーが始まったの。

ステイシー: つまり、いろんな意味でうまくいってるのね。観光客を引き寄せられるという証ね。そしてもちろん、これは他の町に気づかれずにすむはずがない。いろいろな町が忍者効果をねらっているでしょうし、観光客とそのお金を引き寄せたいと思ってる。たとえば、今、名古屋で忍者の見習いになるための訓練を受けられるんです。東京でも、忍者博物館が建設中です。そして、伊賀市の北1時間半くらいのところに甲賀市という町があるんだけど、甲賀市も忍者発祥の地だと主張しています。つまり、岡本市長は忍者を通じて人を引き寄せる改革をしようとしているけど、競争も厳しいんです。

岡本市長:今、この町は一生懸命、忍者観光を(ここから通訳)プロモーションしていて、経済に最大限に活かそうとしています。たとえば、4月末から5月にかけて、この時期は日本ではゴールデンウィークというんですが、この期間中は丸1日の忍者フェスティバルをほぼ1ヶ月間開催しています。期間中は、観光客も地元の人々もやってきます。みんな忍者の衣装を着て歩き回り、楽しんでいます。しかし最近私は、これでは不十分なのではないかと感じています。

ここでちょっとした誤解が生じてます(^^;。

“whole day” “one day”には「1日の」という意味もありますが、文脈によっては「日帰りの」の意味もあります。
“one day trip”なら「日帰り旅行」です。

岡本市長のおっしゃりたかったことは、「フェスティバルをやるだけでは不十分だと感じている」「もっと他にやれることがあるんじゃないか」という意味だったと思いますが、ステイシーは「日帰りイベントでは不十分だからお泊りのイベントをやりたいのね?」と解釈したようです(苦笑)

ステイシー: 岡本市長は、フェスティバルで1日過ごすだけでなく、もっと長く観光客に滞在してもらいたがっています。伊賀市に1泊してほしいと考えています。そのため、伊賀市は市役所を移転しようと計画しています。新庁舎には、2番目の忍者博物館もできます。

サリー: (笑)

ステイシー:2つだって。2つよ。

伊賀市が新庁舎を建築中という情報は本当のようです。
敷地内に博物館もできるようです。

でも、庁舎を移転する理由は、観光客に1泊してもらいたいからではないと思います(汗)。

ステイシー: 新しい博物館は、バーチュアル体験を盛り込んだものになります。市長室は予算を教えてくれませんでしたが、岡本市長は、2番目の忍者博物館建設のための費用は国からの支援を受けているとおっしゃっていました。日本政府は忍者に資金を投入しているんです。これが日本の円の働きですよ。

サリー: でもそのためには、今より多くの人が伊賀市に住んで働いてくれなくてはいけませんよね。これは市長にとって難しい課題ですね。働く人の数が減っているのに、どうやって新しい博物館を建てて運営していけるのでしょうか。この労働力不足の問題は、建設労働者や建築家だけの問題ではないんです。忍者も足りないということなんですよ。

建設労働者は地元の人でなければいけないということはないですよね(笑)。

ステイシー: 忍者が足りないの?

サリー:忍者は足りないのよ。正確に言うと、忍者パフォーマーが足りないの(笑)。

ステイシー: 私、忍者不足って呼ぶことにするわ。

サリー:どうぞ。

ステイシー: 忍者が増えすぎるってことある?

サリー:ないわね(笑)。

ステイシー: もっと忍者を増やさないとね。

サリー:(笑)もっとたくさん忍者をね。

ステイシー:世界中にね。

サリー:日本の失業率は今、2.5%です。とても低いですよね。だから労働者を見つけるのは大変です。吹き矢を使って毒矢を吹くのがすごく上手な人を見つけようとしてごらんなさい。

ステイシー:それに、岡本市長は田舎で働くことを厭わない人を見つけないといけないんですよね。伊賀市は東京から何時間も離れているんです。でも、この仕事にはとても魅力があります。まず初めに、お給料がとてもいいんです。今、忍者パフォーマーは$23,000(約256万円)から$85,000(約945万円)稼げるんです。かなりいいお給料ですよね。

サリー:(笑)。

ステイシー:実際、中世の日本で本物の忍者が稼いでいたよりもずっと高額なんです。忍者に関するデータをもらっている伊賀市の国際忍者研究センターによると、中世の忍者の年収は$8,000から$17,000だったそうです。お給料の額は物価に合わせて調整されていました。その、彼らがチップももらえていたらよいのですけど。

日本の失業率が2.5%って、いつの話でしょうか。

ステイシーは、中世の忍者の年収は国際忍者研究センターからの情報だと言っていますが、本当でしょうかね。

伊賀市は東京からは離れていますが、名古屋や大阪からはそこそこ近いと思いますよ。

サリー:(笑)。岡本市長はそう期待しているでしょうね。伊賀市のある三重県に昨年転入してきた若者は、たった43人でした。

ステイシー:ええと、43人だけ?

サリー:43人だけだけど・・・。

ステイシー:ずいぶん少ないのね。

サリー:伊賀市ではそれと同時に、毎年1000人くらい人口が減っているんです。

若年層だけの転入者の統計があるんですね。
こちらのほうは裏は取れませんでしたが、ここ数年、年1000人前後人口が減少しているのは残念ながら事実のようです。

ステイシー:それでも、43人は初めの一歩ですよね。伊賀市は、忍者が起爆剤となって状況を好転させてくれることを期待しています。そして、海外から忍者になりたい人々を呼び込んで日本で訓練させようと望んでいます

サリー:じゃあ、忍者が日本を救うかもしれないわね。

ステイシー:ええ、もし忍者が日本を救うなら・・・

サリー:(笑)

ステイシー:これまでで最高のストーリーになるんじゃない?

サリー:映画のタイトルは何にする?

ステイシー:「The Way Of The Ninja」かな?違うな。

サリー:「The Ninja」「Ninja Redemption」?

ステイシー:「The Ninja Strikes Back」。

サリー:うーん、「The Ninja」「Ninja Comeback」。

ステイシー:「スター・ウォーズ」の最終話はなんだったっけ?「リターン・オブ・ジェダイ(ジェダイの帰還)」。

サリー&ステイシー:「リターン・オブ・ニンジャ」だー!


他の番組は真面目な話題が多い

NPRのツイッター

他の番組を見たところ、真面目な話題が多いです。

ツイッターでは忍者の番組の話はつぶやいてませんでした。
ツイッターを見る限り、むしろ政治色強いですよね。

伊賀市には失礼な話ですが、軽い息抜きの話題として取り上げられたようですね。

よほどの日本マニアは別として、一般的なアメリカ人にとってやはり忍者は映画の中に出てくるキャラクターのイメージが強くて、スターウォーズかナルトか、という話になってしまうようですね。

日本まで取材に行ったわりには、日本文化や、実際にインタビューで会っている市長に対するリスペクトがなさすぎて残念でした。

ただ、市長が「これをきっかけに伊賀の魅力が広まってくれればと思っているので怒りはない」という趣旨のことをおっしゃっていたのが救いです。

BBCでもこの騒動が報道されたので、もう間違える人は出ないでしょう。

国際忍者学会がある

国際忍者学会は今年2月に発足したばかりのようです。

事務局は三重大の国際忍者研究センターに置かれているそうです。

サイトを見たところとても興味深く、これほど豊かな歴史があるのに、子供向けのショーのように受け取られて終わりというのはもったいないんじゃないかと思いました。

むしろ、大人のお客さんたちには、こうした歴史の中の忍者をしっかり伝えるほうがよいのでは?という気がします。

伊賀以外では実際に忍者不足

少し前にニュース番組で取り上げられていましたが、昔は伊賀、甲賀、日光江戸村くらいしか忍者ショーをやっていなかったのに、最近では、外国人観光客めあてに日本中の観光地が忍者ショーをやりたがるようになったので、役者が不足しているそうです。

伊賀は本家本元なので人手不足になることはないかもしれませんが、他の観光地では、人数が足りないのでひとりで何役もこなさなければならなかったり、スタッフを雇えないので裏方も兼ねたりと大変なようです。

かつては、時代劇の殺陣の方たちがアルバイトで忍者役をやっていたそうなのですが、時代劇がほとんどなくなり殺陣も減ってしまったため、人材不足なのだそうです。

名古屋の忍者養成校は特定できませんでしたが、東京にはいくつかありました

合格しても半年は有料でレッスンを受け、卒業試験にパスして晴れてデビューという厳しい道のりのようです。

忍者役が増えて、人手不足の観光地の忍者たちがゆっくりお昼でも食べられるようになるといいですね。

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