成年後見制度の利用例 判断能力の低下した方が不動産売却 相続人の判断力が低下

判断能力が低下した方が不動産を売却する場合

それでは、法定後見制度や任意後見制度がどういった場合に必要になるのか 具体的な例を挙げながらご紹介していきます。

ここでは、判断能力の低下した夫名義の不動産を売却する場合に、法定後見制度が必要になる例を見ていきましょう。

例えば、次のような4人家族があったとします。

スポンサーリンク




・ 判断能力の低下した夫とその妻が、夫名義の自宅で生活している。

・ 子供2人はすでに成人しており、家を出てそれぞれ自分で生活している。

・ 夫の財産管理は妻が行っており、日常生活には問題ない。

・ 家族で夫の生活を支援している。

このような家族では、普段の生活には法定後見制度を利用しなくても問題ないでしょう。

ただ、次のような状況があれば、法定後見制度の利用を考えなくてはいけません。

・自宅が老朽化している。

・自宅に段差があったり、トイレや風呂が狭く、自宅で介護するのが難しくなってきた。

・自宅を売却し、夫婦で有料老人ホームに入ることを検討している。

このようなことは、どの家庭でも起こりうる事態です。

この家族のケースでは、夫名義の自宅を売却する場合に法定後見制度を利用する必要があります

夫の判断能力が低下しているため、夫が不動産の売買契約書理解するのは難しい状況です。

この場合には、夫の代わりに後見人を選任してもらう必要がありますので、法定後見制度により後見人を選んでもらわないといけません。

選ばれた後見人は、夫の代わりに不動産の売買契約書にサインをして、売買契約を成立させます。

実際、こういった不動産の売却による法定後見制度の利用は、成年後見制度を利用する理由の上位となっています。

スポンサーリンク




ただ、注意していただきたいのは、法定後見制度を利用する目的が不動産の売買であっても、不動産売買が終了したからといって後見人の業務も終了するわけではない、ということです。

前の記事でご紹介したとおり、後見人の業務は本人の死亡などによってしか終了しません。

不動産売買などの目的を達成しても、後見人の業務は終了しないのです。

ここで、妻が夫の代わりに不動産の売買契約書にサインすれば良いのではないかと思われる方もいるかもしれません。

夫名義の不動産の売買について、夫の判断能力が低下しているからといって妻が代わりにサインすることは法律上認められていません

夫名義の不動産は、夫もしくは夫の後見人しか売買契約書にサインはできません。

不動産会社も、コンプライアンス上問題がありますので、それはできませんと言われるはずです。

ここまで見てきたとおり、日常生活については家族で協力して夫を支援しているので支障がないように見えますが、夫名義の不動産を売却する行為に当たっては、夫がすでに判断能力が低下している場合、法定後見制度を利用して、後見人が夫の代わりに不動産の売買契約書にサインしないと売却できないことになります。

このケースのまとめ

・ 夫名義の不動産を売却する場合、夫の判断能力が低下しているときは法定後見制度を利用し、後見人を選任してもらう。

・ 後見人が夫の代わりに不動産の売買契約書に署名する。

・ 判断能力が低下している夫の代わりに、妻が不動産の売買契約書にサインすることは法律上認められていない。

・ 不動産の売買が終了しても後見人業務は終了しない。

・ 本人が死亡するまで後見人の業務は続く。

相続人の判断能力が低下している場合

では、判断能力の低下している夫を残して妻が先に亡くなってしまった事例を見ていきましょう。

この家族の状況については、次のとおりです 。

・ 夫はすでに判断能力が低下している。

・ 夫より先に妻が亡くなってしまった。

・ 相続人は、夫と子供ふたりの計3人である。

・ 妻から夫と子供への相続手続きを始めたい。

スポンサーリンク




このような状況で、妻から夫への相続手続きを行うためには法定後見制度を利用し、夫に後見人をつける必要があります。

その理由は、夫は相続人ですが判断能力が低下しているため、相続の手続きや内容について理解できないためです。

また、相続手続きの際に作成する遺産分割協議についても、内容が理解できないため後見人の選任が必要になってきます。

実際に妻の預金口座の払い戻しなどを受ける場合に、金融機関によって必要書類は異なりますが、たいていの場合、相続人全員の署名・押印が必要になります。

こうした事情から、この家族の例では法定後見制度を利用して夫に後見人をつけて、夫の代わりに後見人が相続手続きを進めていかないといけないことになります。

この例についても、相続手続きを進めることが目的で法定後見制度を利用したとしても、相続手続きが完了したからといって後見人の業務は終了するわけではありません。

後見人の業務は、本人の死亡などがあるまで終了しません。

この点もしっかり理解しておきましょう。

このケースのまとめ

・ 相続人の判断能力が低下している場合は、法定後見制度を利用し、後見人を選任してもらう。

・ 後見人は遺産分割協議書に署名する。

・ 相続手続きが終わったからといって後見人の業務は終了しない。

返信を残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です