成年後見制度の利用例 子供がいない夫婦の場合 おふたり様

成年後見制度の利用例 子供がいない夫婦の場合

子供がいない夫婦の場合

では、子どもがいないおふたり様の夫婦に任意後見制度が必要になってくる例を見ていきましょう。

仮に、次のような高齢のご夫婦がいたとします。

・ 家族は夫婦のみで子供はいない。

・ それぞれの兄弟姉妹とは何年も連絡を取っておらず、ほとんど音信不通の状態。

・ 夫は要介護3で、自分ひとりではあまり身動きがとれない状態。

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このような状況の場合、夫と妻のそれぞれに任意後見制度が必要になってきます。

その理由はいくつかあります。

まず、それぞれが同じ時期に判断能力が低下してしまった場合には、法定後見制度の利用を考えないといけません。

しかし、法定後見制度を利用する場合には、前の記事でもご説明しましたように申立人が必要です。

この夫婦の場合は子供がいないので、申立人となってくれる人を探さないといけません。

法定後見制度の申立人は、本人、配偶者、四親等以内の親族、市町村長などに限られています。

この夫婦の場合、どちらも同時に判断能力が低下してしまっていたら、申立人にはなることができません。

次に、申立人になってもらうように兄弟姉妹を頼ったとします。

しかし、本人たちが高齢になっているということは、兄弟姉妹も高齢であり、なおかつそれぞれに家族がおり、自分や配偶者の介護で手一杯になっている場合が多いです。

そんな状況の中で、兄弟姉妹からの頼みとはいえ、家庭裁判所に出向いて成年後見制度の申立人となってくれる可能性は極めて低いです。

このようなことが予想されるので、この夫婦のケースでは、夫と妻のそれぞれが予め元気なうちから任意後見制度を準備しておくことが必要です。

任意後見制度は判断能力があるうちしか結べませんので、一日も早く将来自分の財産管理などを任せる相手を決めて、任意後見契約を結ぶことが大切です。

またこのケースでは、夫が要介護3で自分ひとりでは身動きをするのが難しいので、任意後見契約のほかに、生前事務委任契約死後事務委任契約遺言書も準備したほうがよいです。

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生前事務委任契約について

判断能力はあるが体を自由に動かすことができない場合に、本人に代わって銀行に行ってお金をおろしてきたり、役所に申請などを行うことができます。

このケースで、例えば妻が先に亡くなってしまった場合に夫がひとりで銀行などへ出かけることは難しいでしょう。

そうした時に、生前事務委任契約の効力を使って、代わりに銀行や役所で手続きしてもらうことができます。

こういったことを考えて、生前準委任契約も準備しておくのが良いでしょう。

死後事務委任契約について

死後事務委任契約をなぜ準備した方がいいかといいますと、このケースで先に妻が亡くなってしまった場合、夫は要介護3の状態ですので、自分で葬儀や納骨などができません。

その場合には、誰かにやってもらないといけない状況になります。

その時に死後事務委任契約書を本人と死後事務を任せる相手とで結んでおけば、その相手が葬儀や納骨などの死後事務を執行することができます。

そのためにも、このケースでは夫と妻それぞれに死後事務委任契約を準備しておいた方がいいです。

私の伯母の場合も、判断能力があるうちに任意後見契約や生前事務委任契約、死後事務委任契約をやっておいた方がよかったということになりますね。

しかしお年寄りは、自分が亡くなる可能性は考えても認知症になる可能性はあまり考えないものなので、実際にはこうした話を切り出すのは誰が猫の首に鈴をつけるかと同じ話で、難しいですね。

かなり高齢になってからこういった話をしても、相手が理解できなかったり警戒されたりするでしょうから、早い段階から親族で話し合っておく必要があると痛感しました。

遺言書がないと配偶者はすべての財産をもらえない

最後に遺言書ですが、この夫婦の場合は子供がいないので、夫や妻のどちらかが亡くなった場合は、一方の配偶者にすべての財産が行くわけではありません。

このことは結構忘れられているのではないでしょうか。

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どのような相続の割合になるかといいますと、配偶者に4分の3、兄弟姉妹に4分の1になります。

また、自宅が夫名義であり遺言書を遺していなかった場合、夫が亡くなった時は、自宅の相続権は兄弟姉妹にも4分の1発生するということを最も注意しなければいけません。

すべての財産を配偶者に渡したい時は、遺言書を遺しておかないといけないということです。

遺産がほぼ自宅のみで預貯金があまりなかった場合、法定相続分どおりに各相続人に分配するためには、自宅を売って現金化しなければならないという事態になりかねません。

夫が亡くなった後、妻が住みなれた自宅を出なければならないということにならないためには、遺言書を残しておく必要があるわけですね。

子供がいない夫婦については、このように相続が起きたときに残された配偶者にすべての遺産が行くわけではないので、夫婦でお互いに遺言書を必ず書いておいた方が良いでしょう。

また、生前事務委任契約や死後事務委任契約についてもしっかり準備しておく方が良いでしょう。

任意後見制度や死後事務委任契約、遺言書は、どれも作成するにあたり判断能力が必要になります。

元気なうちにしかこれらの制度を利用することはできませんので、早めに準備することをお勧めします。

このケースのまとめ

・子供がいない夫婦は、生前事務委任契約、任意後見契約、死後事務委任契約を準備しておくのが良い。

・法定後見制度を利用しようとしても、兄弟姉妹が高齢のため申立人となってくれる人が見つからない場合がある。

・相続のことも考えて、夫婦お互いに自分が亡くなったら、すべての財産を配偶者に渡すという趣旨の遺言書を書いておきましょう。

・生前事務委任契約、任意後見契約、死後事務委任契約、遺言書は判断能力がある間しか作成できないので、早めに準備しておきましょう。

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